朝のぼくは、かなり機嫌が良かった
朝、外へ出た瞬間、 ぼくは「今日は勝った」と思いました。 なにに勝ったのか自分でもよく分かりませんが、 とにかく天気に歓迎されている感じがしたのです。
光はやわらかい。 空気はきれい。 山の輪郭は遠くまで見える。 風は冷たいけれど、顔をしかめるほどではない。 むしろ、日本の蒸し暑い朝を思い出して、 「アラスカの夏、最高じゃないか」とまで思いました。
ここでぼくは、やってはいけないことをしました。 薄手の上着だけで大丈夫だろう、と判断したのです。 いま振り返ると、その時点で物語の負けが決まっていました。 朝のぼくに言ってあげたいです。 「ヒロくん、それは早い。空を信用しすぎている」と。