空港を出た瞬間、空がまず大きすぎた
ヒロがアンカレッジへ降り立って最初に思ったのは、 「空が広い」ではありませんでした。 それでは少し足りない。 正確には、 「空が主役だ」という感じでした。
日本の都市では、空はだいたい建物の上にあります。 背景です。 でもアラスカでは違いました。 空が上にあるというより、 町そのものが空の下へ控えめに置かれているように見える。 その順番の違いに、ヒロは最初の一秒で気づきました。
飛行機を降りたあと、 荷物を受け取り、 自動ドアが開いて外気が入ってきた瞬間、 空気の軽さと一緒に空の大きさが胸へ入ってきたのです。 それは派手な衝撃ではありません。 むしろ静かな驚きでした。 「ああ、ここは空の持ち分が大きい土地なんだ。」 そう思ったのを、ヒロはあとから何度も思い出すことになります。