まず、景色の大きさが日本の感覚をやさしく壊してくる
ぼくが最初に「ああ、日本の旅と違う」と思ったのは、 空の広さでした。 アラスカでは、空が背景ではありません。 空そのものが、土地の一部として前へ出てきます。 しかもその空の下に、 とんでもなく大きな山、長い川、遠い森、白い氷が重なってくる。
初めてデナリを見た日のことを、ぼくは忘れられません。 遠くに白いかたまりが現れた瞬間、 えっ、と声が出ました。 雲ではない。 山なのに、山という言葉で足りない。 ただ巨大で、静かで、圧倒的でした。
日本にももちろん美しい山はあります。 でもアラスカの山は、人が見上げる対象というより、 空の側に属しているように感じられるのです。 その感じが、日本の旅人にはとても新鮮だと思います。